私は今年5年目になる訓練生です。
元々個人分析を長く受けており、今度は自分が分析を行える立場になりたいと考え始めたときIPPOの設立を知り、応募しました。おぼつかないながらも、いつかは自立し、ゆくゆくは後進を指導できる立場になりたいと考えています。
訓練に興味をお持ちの方の参考になればと思い、私自身の経験をご紹介いたします。
大量の文献に取り組む1年目
訓練の1年目はカリキュラムが一番詰まっている時期で、毎月3本の英語論文が課されました。英語を読む能力が高くなかったため、かなり苦労しました。十分消化する時間がなくすぐ次の講義となったため、何を習ったのかは正直あまり覚えていません。しばらくすると、IPPO相談室でケースを担当し、スーパービジョンを受け始めました。仕事を持ちながら訓練ケースを担当するため、クライエントと時間を合わせるのが大変でした。更に忙しい講師の先生方にスーパービジョンの時間を捻出していただくのも一苦労です。
職場ではきちんと構造化されたケースを持つことが難しかったため、スーパービジョンを受けながら有料で面接できる機会が得られたことは大変ありがたかったです。今でこそオンラインの使用が認められていますが、当時は仕事が終わるとすぐ電車に乗り、大阪、京都、兵庫の先生方のオフィスを巡っていました。
ケースに注力する2年目以降
2年目以降は文献の負担が少し楽になり、その分ケースとスーパービジョンの割合が高くなっていきます。個人スーパービジョンと並行して、グループスーパービジョンにも参加します。他の訓練生が担当しているケースを聞くことで、幅広く学ぶ機会になります。訓練期間中続ける個人分析も支えとなっています。分析学会の認定資格取得を目指しているため、学会発表と論文の投稿も求められます。人前で話すことや文章を書くことに対して苦手意識が大変強いため、一人では決してやろうとはしなかったと断言できます。
応募を迷っている方へ
これだけのカリキュラムをこなすには時間的にも精神的にもそして金銭的にもとても大きな負担となりますが、同じ経験をしている仲間と支え合えたからこそ続けてこられました。集中的に精神分析の理論と実践を学ぶことで、日常の業務においても気づきのレベルが上がっているように感じます。苦労した日々も糧となり、自分の頭で考えて実践できるようになるという訓練の達成目標に近づいていると思います。
IPPO訓練コースに応募される場合、生活を維持しつつ訓練を受けられるよう、できれば十分な資金を貯めておかれることをお勧めいたします。また、英語の文献を読み要約し発表することが求められるため、読解力をつけておくことも大切です。事前準備ができるとより訓練に集中でき、それに見合った成果がきっと得られることでしょう。
【ちょっと一言】
正規訓練生の場合、年間受講料20万円のほか、個人セラピー、スーパービジョン料などの費用がかかります。個人セラピーやスーパービジョン料は各先生方によって料金が異なりますが、8000円〜12000円ほどです。スーパービジョンの場合、所定の条件を満たせば割引を受けられる場合があります。