はじめまして。今年で3年目となるIPPO訓練生です。

私のIPPOでの体験から、その訓練の一部をお伝え出来たらと思います。

コロナ禍の中でIPPO訓練が始まる

 私の場合、IPPO訓練コースの始まった1年目というのは、あいにく未曾有のコロナ危機の襲来と、その時期を同じくしていました。これからどうなっていくんだろう、という不安の中で訓練が始まったのを覚えています。その中で、同じく加入したばかりの訓練生のライングループでは、既にケースを担当されている先輩方が、コロナ禍の中での面接室使用に関する意見を飛び交わせていました。あっという間に話が進み、意見がまとめあげられていく中で、理事の先生方からのレスポンスも早く、その相互的なやり取りとスピード感を傍観しながら、すごいなぁと半ば圧倒されたことを覚えています。

 文献、GSV、アセスメントワークショップなどの訓練プログラムは、主にオンラインという形で徐々にと始まっていきましたが、気がつくと、その準備に追われ続けるようになりました。私自身、訓練1年目は余裕がなかったこともあり、オンラインという形で移動の負担が減ったことは、助けられた部分でもありました。訓練を始めるにあたっては、仕事との両立という面である程度の余裕があることや、ご家庭のある方は、家族の理解があるということも大事なことだと思います。

分析的設定を維持しやすい面接室

そうした中で自らの個人分析、クライエントさんとのセラピーも順々に始まっていくのですが、こちらの方は、勿論その都度の状況に応じてオンラインに移行したりと流動的ではあったものの、その基本は対面でした。

 なかなか自分の職場の方では、物理的にも、時間的にも、外部からの干渉の少ない環境というものを作ることは難しかったこともあり、PHSも何も持たずに面接室に入って、50分間腰を据えてセラピーにあたるという体験はとても新鮮でした。普段の慣れ親しんだ職場とは違う、勝手も異なる、そして外部からの干渉の少ない分析的設定を維持しやすい面接室という場があり、そこで、セラピストとしても、クライエントとしても、セラピーを体験できるというのは、とても貴重なことでした。

訓練の場

 また訓練の場というのは、他の訓練生の方達と交流する機会にもなります。限られた中ではありましたが、職場や職種の異なる方達と、訓練の話に限らず、色々と交流や相談する機会を持つことが出来るということは、時にしんどくもある訓練において、とても助けられるものでした。そしてそれは、今までの生活では気づきえなかった、新たな視点に開かれる可能性を秘めたものでもありました。

 コロナ禍でそうした場が限定されている中、また凄惨なニュースの続く昨今の激動の時代においてこそ、僅かながらでもこうした交流の場があるということは、改めてとても大切なことだと実感しています。