私は今年度で4年目になる訓練生です。ふだんは医療機関で心理職として勤務して長くなります。心理職として能力を発揮するための専門的な訓練は職場ではほとんど受けることが出来ません。IPPOでの訓練をはじめる以前は、自分のペースで心理検査や心理療法などの勉強会に幅広く参加していました。それだけは不十分に感じて個人スーパービジョンを受け、さらに精神分析学会認定の資格を取得することを目指すようにもなりました。
訓練を始める3年前にはIPPOの設立記念シンポジウムにも参加しており、訓練内容についての説明を受けていました。そのときは、IPPOの訓練内容は魅力的であったものの、必要となる時間と費用を考えると敷居が高すぎると感じました。
しかしその後、精神分析学会認定のために受けた訓練の一部がIPPOの訓練として認められる移行訓練生のことを知りました。移行訓練生としてならば多少敷居が下がりました。それでもとても悩みましたが、IPPOではこれまで得られなかった経験ができそうだと考えて訓練をスタートしました。
訓練がはじまると、自分のペースとは真逆の濃密な訓練プロセスの中に身を置くことになりました。はじめの2年は文献を読んで内容をプレゼンし、ディスカッションする機会が多く、その準備に追われました。毎晩自宅の小さなデスクにかじりつく日々が続きました。コロナ禍をきっかけにプログラムにオンライン参加できたことで移動の負担は軽減されたと思います。一方で対面で集まることが出来たときには仲間と訓練の苦労を分かち合う貴重な機会となりました。
話は逸れますが、私は運動不足解消のために、時々市民プールで泳ぎます。泳ぐことは好きですが、子供の頃からこれまで習ったことはありませんでした。昨年、半年ほど集中してレッスンを受ける機会を得ました。クロール、背泳は身体を左右にローリングさせながら推進する、平泳ぎとバタフライは身体全体をウェーブさせる、平泳ぎでは両手を肩幅までしか広げない、、等々まさに手取り足取り指導を受けて目からうろこが落ちる体験となりました。レッスンを受けることで楽に泳げるようにもなり、それまで以上に泳ぐことが好きになりました。それはさておき、IPPOの訓練でも講師や他の訓練生とのかかわりの中で手本を見たり、自分のやり方を見直す機会がたくさんあったと思います。集中的なレッスンで我流の泳ぎでは超えられなかった壁を乗り越えることが出来たように、我流の学びではなく訓練プロセスの中にいることでセラピーではこれまで見えなかったことが見えたり、楽にセラピーに臨むことが出来るようになったように思います。当たり前のことですが、何かを身につけようとするとき、よりできる人から直接学ぶことや仲間の存在はとても大切だと思います。